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「2001年宇宙の旅」の旅 ふたたび その13

ストーリーというか、映画の進行を書き連ねるのは野暮なのでここでは割愛します。
何しろこの映画ほど、解説が必要で、且つ説明の不要な映画は無い。
この映画は「理解」する映画ではなく、「体感」する映画なのである。

その映像を存分に体感し、やがて訪れる「インターミッション」。
昔の少し長めの映画にはよくあった、いわゆる「休憩」の時間。
ここでも封切り当時の形式に則り、15分の休憩を取っている。
しかし、どんなに長い映画でも途中で席を立つことをしない私は、ここでも席を立たず、再開をじっと待ちました。

再び「アトモスフェール」で「再入場」を促す。
そして上映再開。
もっとも緊迫するシーンと最大の見せ場がやってくる。
無限の彼方へといざなわれる「スターゲート」と呼ばれるシーンだ。



ラストシーン。
オープニング同様、「ツァラトゥストラはかく語りき」が流れ、物語は終わる。
エンドクレジットは、ヨハン・シュトラウス二世の「青く美しきドナウ」が流れ、余韻に浸る。
そしてこの映画、「退場曲(当時は「追い出し音楽」と言っていたらしい)」が設けられており、「青く美しきドナウ」の途中で「THE END」と映し出され、場内が明るくなる。
カーテンも閉められ、音楽だけが鳴り響いている。
本来ならこの「青く美しきドナウ」が流れている間に客は退席するようになっているのだが、誰一人として立ち去るものはいない。

会場が明るくなってから3分弱。
「青く美しくドナウ」もフィナーレとなる。
音楽が鳴りやんだ瞬間、会場から一斉に拍手が起こった。
私はその拍手の中、立ち上がって後ろにある映写室に向かって、今回の映写技師の方に対して拍手を贈った。
すると他にも数名映写室に向けて拍手する方がいて、それに合わせるかのように全員が映写室の技師に拍手を贈っていた。
次の上映も迫っており、その準備ために大忙しだったので、技師の方々がこちらに反応してくれる事は無かったのだが、映写技師に拍手を贈ったのは人生でも初めての事だった。
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「2001年宇宙の旅」の旅 ふたたび その12

そしていよいよ上映開始。
封切り当時の上映形式に則り、会場が明るいまま「入場曲」として、ジョルジ・リゲティの「アトモスフェール」がおよそ2分30秒流れる。
「入場曲」が終わると館内は徐々に暗転し、スクリーンを覆っている幕が左右に開く。
そしてそこに映し出されるMGMのロゴマーク。
あまりにも有名過ぎるオープニング。
リヒャルト・シュトラウスの「ツァラトゥストラはかく語りき」の導入部が流れる。
地球→月→太陽と思われる星の直列から徐々に太陽光が差し込む。
やがて映し出されるタイトル。

「2001:A SPACE ODYSSEY」

不覚にも涙が流れた。
泣くような映画じゃないんですけどね。

「2001年宇宙の旅」の旅 ふたたび その11

映画開始前のちょっとした「いい話」。
責任者・冨田さんの「1968年の封切り時にこの映画を観たという方はいらっしゃいますか?」という問いに、数名の年配の方が手を挙げた。
この瞬間、「おお~!!」という歓声と共に拍手が沸き起こった。
これまでも何度か映画祭などの特別上映を観る機会があったが、こういう場面には遭遇したことが無く、ちょっと感激する一幕だった。
最近御成座に赴くようになってから懇意にして頂いてる方がいる。
その方も若かりし頃、この映画の封切り時に御成座で鑑賞されたそうだ。
同じ上映回を観た方と後に御成座で再会したり、御成座の支配人、御成座で絵看板を書いていらっしゃる方もこの特別上映に足を運んだということで、この特別上映を体験できた人の中に、御成座に集う人が4名もいたという事実に驚かされた。
1968年の封切り時に映画を観た方と、まさに50年の時を越えた交流をした瞬間は、まさに時空を超えたと思えたのです。

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「2001年宇宙の旅」の旅 ふたたび その10

ホールに入った瞬間に思ったことは、「思ったよりも小さいホールだけど、後ろの方だとスクリーンに遠すぎる」だった。
この映画の醍醐味を味わうためには、「前列か後列かの二者択一なら前列に行くべき」と答えを出した。
何しろ良さそうな席は軒並み荷物で確保されている。
最前列まで到達した。
選択を誤ったかと思った瞬間、3列目中央やや左側に一つ席が空いていた。
「ここ空いてますか?」と聞くと、「空いてますよ。どうぞ。」と。
席に落ち着きスクリーンを見ると、眼前には視界全体にスクリーンが広がり、シネラマスクリーンの中に入ってしまっているかのようだった。

やがて定刻。
今回の上映会の企画責任者を務めた冨田さんという方が挨拶と解説を始める。
今回の上映会の最大の目標は、「日本で封切られた当時、1968年を再現する。」というものだった。
さすがに封切り時の「テアトル東京」とはスクリーンの大きさが違うので、完全再現とはいかないのは判っている。
1968年の再現を目指すというテーマのため、上映中は携帯・スマホの電源を切るというところまで徹底し、当時には無かった光源がスクリーンに影響しないようにという注意が添えられた。
しかも今回のフィルムは、日本語字幕が焼き付けられていないものなので、苦肉の策として、映像を映し出すスクリーンの下に、字幕だけを映し込む別のスクリーンが用意された。
この字幕用のスクリーンも、映像に影響が出ないように、反射の少ない素材を厳選して作られているという。
とは言うもののこの映画、164分の上映時間の中で、セリフがあるのは40分程度しかなく、何度も見返している映画なので、字幕が無くても大丈夫なくらいセリフは覚えているし、ヒアリングの練習と思えばどうという事はない。
ここでふと、この趣旨において前列に陣取ったのは正解だったと自信を持つに至った。

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「2001年宇宙の旅」の旅 ふたたび その9

ここで先刻のお二人との会話で、重要な事を思い出した。
「指定席でないなら、良い席は既に取られてしまってますよねぇ。どこに席を取ろうかなぁ。」
前売り券購入者で先に入場した人は、恐らく中列中央を取るだろう。
当日組に残された110席が、どのように残されているかはわからないが、ずっと後ろから観るか、極端に前に行って観るか、あるいは左右どちらかにに散っても中列を狙うかという選択肢しか残っていないだろう。
そのお二人は「どちらかというと後ろで観たい」という希望を持っており、私もそれには同感。
しかし今回の上映は、普段の平面スクリーンでの上映とは違う。
左右がせり出して湾曲している「シネラマ」方式での上映なのだ。
こんな機会は滅多にないので、思い切り前に座ってスクリーンに囲まれるように全身で映像を味わうというのもアリだ。

この会話を思い出し、自分が座る席の選択をする準備にかかった時間は、恐らく0.1秒くらいだっただろう。
ホールに一歩足を踏み入れ、全体を見渡し、どこに座るかの判断を迫られた。
フットサルをする上でも重要な、判断の早さがここでも求められた。

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「2001年宇宙の旅」の旅 ふたたび その8

ここでちょっと小さなこぼれ話。
「226番から230番までの方、どうぞ。」とアナウンスが入り、警備の方に番号を見せて入ろうとする。
タイミングが少し遅れて228番の人が来たので、整理券番号順に沿って先を譲る。
ところがここに、230番を持ったババアがしれっと先に並びやがった。
いつもなら「なんだこのババア」と荒くれるところだが、映画が観られる幸せをかみしめていた事と、どうせ当日券発券の時に順番を修正されるんだから、とあまり意に介さずにいた。
案の上、受付で「229番の方が先ですので」と指摘される。
悪びれる様子も無いどころか、「1人分くらい早くたっていいじゃないの!」的な不機嫌な返答で後ろに回される。
こういうババアの処遇は、毒蝮三太夫に任せておけばいいという事で(わからない人は「毒蝮三太夫のミュージック・プレゼント(ラジオ番組)」で調べてみよう)。

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「2001年宇宙の旅」の旅 ふたたび その7

昼食を済ませ、会場に舞い戻ってきた。
時刻は13時。
ロビーはすでに観客でいっぱいになっていた。
前回の敗北を経験しているので、入場方式がどのようなものかは判っていたので、心の余裕はあった。
そして、入場を待ちわびる見知らぬ映画ファンの人達との交流タイムが自然発生的に始まった。
関西から来たという男性と、埼玉から来たという若者。
関西の方は会場の真向かいのホテルを取り、5時15分に到着し、整理券番号は「206」。
埼玉の若者は始発で向かい5時20分に到着し、整理券番号は「207」。
すごい意気込みだと感心するが、さらにそれよりも早く陣取っていた人がいた事も驚きだ。
岩手からの参加だという事を告げ、実は先週の日曜日も来たけど敗北したという事を話すと、さすがに驚いていたようだった。
しばし映画談議に花を咲かせていると、前売り券購入者から会場に吸い込まれていった。

「当日券の人はどういう形で入場するんでしょうね?」と質問されたので、「前売り券購入者が全員入場したら、次は当日券組が整理番号順に呼ばれて、5人くらいずつ入場して行き、整理券番号と受け取る時に記名した名前と身分証明書を照合して、確認が取れたら当日券が発券されるんですよ。」と説明。
すると関西の方が、「ああ、先週も来られたんでしたね。心強いです。」と。
高くついた経験値だったが、役に立てたなら良しとしましょう。
やがてお二人は早々と会場入りし、遅れること約5分、ついに自分の番が来た。

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「2001年宇宙の旅」の旅 ふたたび その6

なぜ上映30分前集合が時間厳守なのかというと、整理券番号順に入場することになっており、番号を呼ばれた時点で入場しないと、せっかく整理券を入手しても無効になってしまうからだ。
では、なぜそこまで厳しい条件を課しているかというと、映画を観る気もないのに前売り券を入手して、オークションサイトに転売する行為が横行していたからだそうだ。
当日入場整理券も、早朝から並んで入手する事をバイト感覚で請け負うダフ屋行為によって金銭取引されることを防止するため、整理券受け取りの際に記名をし、入場券と引き換えの際には身分証明書の提出も求める徹底ぶりだった。
確かに、この映画観たさにネットオークションやチケットオークションのサイトを調べてみたのだが、2,500円の入場券に対し、倍以上の値段で出品されているものがあった。
甚だしいものでは、15,000円で出品している狂ったヤツもいた。

そういう状況を目の当たりにしたこともあり、この特別上映に行くことを諦めていた節もあった。
だが実際は一度当日券入手に失敗しているため、掛かった交通費等を考えれば、高くてもこういう輩からチケットを買っていた方が安く済んでいたのだけれど、映画ファンとしてはそれはしたくない行為だった。

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「2001年宇宙の旅」の旅 ふたたび その5

そもそも11時開場という時点で気付くべきだった。
今日は平日なので、前回の週末とは上映スケジュールが違う!!!
1回目が14時からで、2回目が18時30分からなのである。
前回の上映予定は、1回目が11時から、2回目が15時30分からだった。
この映画の上映時間は164分。
なので、たとえ2回目に回ったとしても大丈夫な様に、帰りの新幹線は19時台のものを狙うつもりでいた。
しかし今回は宿と往復切符とのパックセットだったので、あらかじめ切符は手配していた。
それが、週末の上映予定を想定していたため、19時50分の新幹線を予約していたのです。
これだと、もし2回目に回る事になったら、映画の途中で帰らざるを得ない。
指定席を諦めて自由席で帰る事も考えたが、東北新幹線では自由席を設けている列車(やまびこ)が極端に少ない。
ほとんどが全席指定の列車(はやぶさ)しかなく、戦慄を覚えた。

落ち着いて考えてみれば、どう見ても1回目の整理券が入手出来る順番だったので、戦慄も一瞬の出来事だった。
もしこれが前乗りせずに、平日だからとタカをくくって、また始発でのチャレンジをしていたらと思うとゾッとする。
そして自分よりも前に並んでいる人の中にも、2回目の上映会を希望する人もいて、兎にも角にも、整理券の入手だけは確実な情勢となった。

ついに順番が回ってきた。
受け取り証明書にサインをし、渡された整理券の番号は「229」。
310席の内、200席は前売り券で発売された分なので、当日券入場者としては29番目に入場する事が出来るのだ。
ついに14時からの上映回で鑑賞する権利が与えられたのだ。
時刻は11時15分。
あとは時間厳守で入場開始時刻13時30分までに会場に戻ってくるだけ。
その事だけ気を付けて、昼食に向かう事にした。
昼食レポートは後日。

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「2001年宇宙の旅」の旅 ふたたび その4

9時を過ぎた頃、職員の方が何やら説明している。
「9時45分になりましたら、地下の小ホールを開放いたします。お並びの順番でご案内いたしますので、9時30分までに列にお戻り下さい。」
前回は週末で10時からの配布、今回は平日で11時からの配布だった事と、これまでの並び具合を考慮しての事だろう。
雨が降っていたことも重なって、先週に並んでいた時にはなかった配慮。
これは大変ありがたい。
そして小ホールへの案内が始まった。
ここは200席余りのホールで、何よりもコンクリートの地べたに座る事から、映画用のソファに座れるという事の利点が大だ。
ありがたい事にソファを与えられた事で、ゆったりとした座り心地の中、仕上げのひと眠りが出来る。
そして文字通り、あっという間に眠りに落ちた。

時刻は11時。
職員のアナウンスが入る。
「それでは定刻になりましたので、只今より整理券を配布いたします。お並び頂いた順にご案内します。」
これでもう確実に当日券を入手出来る。
喜びの束の間、ここに来て重大なミスに気が付いたのでした。

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